突然ですが、あなたのお店は新規顧客の獲得が思うようにできていますか?
リアル店舗であれ、WEB通販であれ、収益を上げるためには新規顧客の獲得・育成が必要です。しかし、新規顧客を思うように獲得できている企業はあまり多くはありません。実際に、以前あるセミナーで紹介されていた企業向けのアンケートで、
貴社が今後、力を入れていきたい項目は何ですか?(複数回答可)
という質問に対し、「新規顧客(見込み客)の獲得」が77%、「既存顧客のリピート化・優良顧客化」が52%、「客単価の底上げ」が18%、「休眠顧客の掘り起こし」が21%という回答がありました。
約8割もの企業で新規顧客の獲得に力を入れたい。と答えています。
逆をいえば、2割程度しか思うように新規顧客を獲得できていないのです。
大企業であれば、広告宣伝費にたくさんお金をかけて集客することができますが、中小企業や個人事業ではあまり費用をかける余裕がない。というのが実情ではないでしょうか。また、どうやって新規顧客を獲得したらいいのかわからない。という方もいるかもしれません。
そこで、今回は中小・個人企業向けの新規顧客獲得戦略についてお話させて頂きます。
新規顧客の獲得に重要なポイントは2つ!
- たくさんある競合の中から【知ってもらう】
- たくさんある競合の中から【興味をもってもらう】
新規顧客獲得の為に重要なのは、「知ってもらう」ことと「興味を持ってもらう」ことです。
あなたの扱っている商品・サービスが、あなたのお店でしか手に入らない(体験できない)モノであるなら、それほど重要ではないかもしれませんが、生活が豊かになった現代では、似たような商品・サービスは「これでもか」というくらいたくさん出まわっています。
競合でひしめき合っている市場のなかで、あなたのお店を選んでもらうためには、まず、知ってもらうこと、そして、興味を持ってもらうことが非常に重要になってきます。そのためには何をするべきなのかということをこれから詳しく解説していきます。
わかっているのに、なかなかやっていない3つのこと
- 他社との違いを明確にする
- ターゲットは誰なのかをより具体的にする
- 伝わるメッセージを考える
自社の強みはなに?-競合他社との『差別化』-
先ほどもお話ししたように、現代では似たような商品・サービスや同じ価格帯の商品・サービスというのは、たくさん出まわっています。競合の中に埋もれないためには、競合他社との違いを明確にし、差別化をはかることが必要です。そのためにも、まず、自社についてしっかりと分析することが大切です。
自社の強みを見つけ出すSWOT分析
SWOT分析は3C分析とならぶ企業や事業の現状分析のための分析手法のフレームワークです。
SWOTは、Strength:強み、Weakness:弱み、Opportunity:機会、Threat:脅威からなり、自社を取り巻く環境による影響と、それに対する自社の現状を分析しながら、自社のビジネス機会を発見します。
SWOT分析をおこなうことで、「誰に」、「何を」伝えていくべきか。を導きます。
例の個人スーパーの場合、寮生活の大学生や高齢者向けに、カット野菜と惣菜を中心とした小ロット販売を売り出していくことで他社との差別化を図ることができます。
ターゲットは誰なのかをより具体的にする
SWOT分析を行うだけでもある程度ターゲットは絞り込むことができますが、自社の現状を分析・把握するためにも、今一度、自社の商品・サービスを利用するのはどのような人なのか、また、どのような人に利用してほしいのか、ということを見直してください。今やっていることが当たり前と思ってしまっていると発見できなかった気付きを新しく見つけ出すことができるかもしれません。
伝わるメッセージを考える
自社の強みと、ターゲットがわかれば、その人へ向けて自社の商品をアピールすることができます。
先ほどの個人スーパーを例に考えると、「価格が高い」というマイナス要因も、「地元農家さんが手間・ヒマ・愛情をかけて作った最高品質の野菜です。」というように、伝え方を変えれば、受ける印象も変わってきます。また、小ロット販売をする場合にも、「一人暮らしの大学生や、高齢者の場合、野菜を1袋買っても、一度に食べきれず、使い切る前に腐ってしまうことが多いでしょうから、小分けの小ロット販売をしているのですよ。」というように、『どうしてこの販売方法(価格・サイズ・商品・企画)なのかというような理由付け』をしてあげることも大切です。
このように「自社の強みを明確に」し、「ターゲットを限定」し、「伝え方を変える」だけでも競合他社との差別化を図ることができ、安易な価格競争に巻き込まれる心配もなくなります。
たったこれだけの事ですが、意外にもやっていない企業は少なくありません。
その結果、「どこよりも安い価格で提供しなければ売れない」という間違った判断をしてしまう危険性が高まってしまいます。そうならないためにも、是非、この3つの事をやってください。
新規顧客の獲得プロモーション
自社の強み・ターゲットが明確になったら、つぎは、実際に集客を行う段階になります。
リアル店舗型の集客方法
リアル店舗で新規顧客を獲得するためには、商圏の設定が大切です。これは案外、軽視されてしまいがちなのですが、あなたのお店を利用してくれるお客様はどこから来ているのかを分析することで、来てもらいやすい地域というのが出てきます。そして、どうしてその地域から来てくれる人が多いのかというのを解析していくことで、ターゲットの行動を促し、効率よく新規顧客の獲得ができるようになります。
すでに実施しているお店もあるかと思いますが、アンケートキャンペーンとして来店者の住所・名前・来店理由などの情報を集めます。アンケート内容はお店に合わせて必要な項目を設定します。その時、回答欄は書いてもらのではなく、あらかじめいくつか設定しておき、それに○や☑をつけて回答できるようにしておくと回答率が上がります。
そうして、集めた情報をエクセルに入れ込んでデータ化していきます。次に、このデータをGoogle Mapで住所を読み込みます。するとデータ化された来店客の住所がピンで表示されるので商圏の把握がしやすくなります。
Google Mapに読み込むことでどの地域が多いのか一目でわかるようになります。また、1つだけ離れた所にあるなど、特異なモノがある場合、どうして来店してくれているのか詳しく調べてみると新しい訴求軸の発見にも繋がります。
商圏が分かったら、次は「町丁目別浸透度」を計測します。
これは、先ほどのデータをもとに、以下のように求めることができます。
町丁目別浸透度(%) = 該当地域の来店人数 ÷ 該当地域の人数 × 100
例えば、1丁目から来店する人も2丁目から来店する人も10人いたとします。
しかし、1丁目に住んでいる人は100人いて、2丁目に住んでいる人は300人いたとすると、1丁目は10%に対し、2丁目は3.4%しかありません。つまり、1丁目に販促をした方が来店してくれる可能性が高いということになります。
タウンプラスで効果的なDM発送
リアル店舗での集客方法はポスティングが主流となってくるかと思いますが、資金的に余裕があるのであれば、日本郵便が提供している「タウンプラス」を利用してみると良いでしょう。
通常、DMなどを送付する場合には、届け先の住所と名前が必要ですが、当然、まだあなたのお店を利用していない人の住所や名前は分かりません。そこで、このタウンプラスを利用することで、「○丁目に住んでいる人」というような条件でDMを送ることができるようになります。
また、タウンプラスで一定条件を満たしていれば、日本郵便のGIS(Geografic Information System:地図情報システム)をもとに、お店から「車(自転車・徒歩)で○○分」圏内に住んでいる「40代」の「男性」というような詳細条件をしていしてDMを発送することができるので、より効率的な集客を行うことができます。
WEB店舗型の集客方法
WEB店舗型の集客方法には、いくつも種類があり、少しがんばれば自社で無料でできることから、費用がかかるものまで様々です。効果の出やすいモノをいくつかご紹介します。
がんばれば無料でできる集客方法
- 公式ブログ
- コンテンツマーケティング
- ソーシャルメディア
公式ブログ開設
一番簡単に始められるのは、やはり公式ブログの開設です。ブログはアメブロやシーサーブログなどの無料ブログでも良いのですが、せっかくホームページを持っているのであれば、ホームページと同じドメインで立ち上げた方が、後々、有利になってくるので、できれば自社サイト内に開設しましょう。
ブログで書く内容については、スタッフの紹介や、今日の出来事、新商品のご案内など、いろいろあります。しかし、あまりにも「売り売り」の内容になってしまうと、嫌がられるので、どちらかというと商品の紹介よりも、お店の雰囲気が伝わるような親しみやすい内容が良いでしょう。あくまでも、ブログは『コミュニケーションの場』として活用し、顧客との信頼関係を構築していきます。
コンテンツマーケティング
こちらは最近、導入している企業も増えてきていますが、商品に関連することを紹介していきます。例えば、緑茶を販売しているのであれば、種類や歴史、ウーロン茶・紅茶との違い、緑茶が健康に良いとされている理由などを紹介していきます。基本的にどの商品でも記事のネタが尽きるということは、あまりないので、たくさん紹介していくとより効果的です。
この方法は、新規顧客の獲得だけでなく、既存客の育成にも繋がるので、まだ導入していない方にはぜひ、やって頂きたい施策です。ちなみに、当サイトもこれに該当します。
ソーシャルメディア
最近では、スマートフォンの普及に伴い、TwitterやFacebookなどのSNSをはじめとするソーシャルメディアを利用する人が増えています。有料の広告配信サービスなどもありますが、広告を使わなくてもアカウントを開設してお客様とのコミュニケーションをとったり、イベントの告知などにも使えるので、やっておいて損はありません。
また、ソーシャルメディアを利用することで、自然な被リンクを獲得しやすくなり、SEOにも効果的です。ソーシャルメディアを利用する場合は、ブログなどとの連携をすることも忘れずに。
有料でできる集客方法
- Google Adwords、Yahoo!プロモーション広告
- アフィリエイト広告主
- 各種ソーシャルメディア有料広告
- 楽天やAmazonへの参入
Google Adwords、Yahoo!プロモーション広告
WEB広告といえば、Google Adwordsと、Yahoo!プロモーション広告が有名です。どちらも、リスティング広告(検索連動型広告)とディスプレイネットワーク広告の2つに大きく分けることができます。
まず、リスティング(検索連動型)広告について説明します。難しい言葉のように感じるかもしれませんが、検索エンジンで何か調べる時に、検索結果の上段や右側に表示されている広告を見たことはありませんか?これが、リスティング広告です。
あるキーワードで検索された時に広告が表示され、広告がクリックされた場合にのみ費用が発生します。少額からでも運用ができ、配信スケジュールなども管理しやすいため、費用対効果の高い広告運用ができます。
アフィリエイト広告主
アフィリエイトという言葉を一度は聞いたことがあるかと思いますが、アフィリエイトは、自分のサイトやブログで商品を紹介し、購入があったら成果に応じて報酬が支払われます。アフィリエイトの広告主になることで、いろんな人のサイトで商品を紹介してもらうことができます。
費用は月額固定費が5万円(税別)程度かかり、あとは成果に応じて変動する成果報酬分の費用が必要になりますが、10~30万/月くらいで利用できます。少し金額は張りますが、それだけ多くのサイトからの紹介されるようになるので、費用対効果で考えるとやっておいた方が良い広告となります。
広告主になるためにはASPへの登録が必要ですが、A8.netは大手で有名なので安心して利用することができます。
各種ソーシャルメディア有料広告
さきほども少し触れましたが、TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアの多くは自社で広告媒体をもっているので、こちらを利用することもできます。商品・サービスによっても異なりますので一概には言えませんが、これはお金に余裕があるときにやってみると良いかと思います。
楽天市場やAmazonへの参入
これは広告とは違いますが、大型のモールに参入するのも有効的です。楽天市場やAmazonは利用者も多いので、それだけ露出がひろがります。これらをメインとしてネットショップを構築している会社もあるくらいなので、かなりの効果が期待できます。また、ネットで買い物をするけれど、Amazonや楽天でしか購入しないという人も多いので、自社カートを保有している場合にも登録しておいて損はないかと思います。
まとめ
新規顧客を獲得するためには、宣伝が必須です。何をアピールするべきか、自分たちの強み、ターゲットを明確にするところからしっかりと行いましょう。お金に余裕のある場合は特に問題ないかもしれませんが、ただ闇雲に広告を出すよりも、しっかりと分析をして仮説を立ててから広告を出す方が効果があるのは言うまでもありません。
また、新規顧客を獲得するためには少なからずお金がかかってしまいます。お金に余裕がないのなら知恵を出すしかありません。もし、闇雲にやっている、何をしたらいいのかわからない。という場合は、一度原点に立ち戻って、現状を見直してみることをおすすめします。
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