WEB通販であれ、リアル店舗であれ、ビジネスを成功させるためには、顧客管理は避けては通れません。
以前、『【中小・個人企業向け】売れる仕掛けづくり~新規顧客獲得の戦略』という記事で、新規顧客を獲得するためには【知ってもらう】こと、【興味をもってもらう】ことが大切で、そのためには、まず、自社の強みをしっかりと確認しましょう。という事をお話しさせていただきましたが、今回は、獲得した新規顧客をどのように育成し、管理するべきかということについてお話しさせていただきます。
そもそも、顧客管理とは?
顧客管理というと、顧客の基本情報や購入履歴(売上)などの情報を管理すること、のように聞こえてしまいますが、顧客管理とは本来、顧客との関係をマネージメント(管理)することであって、顧客情報そのものを管理することだけではありません。
顧客管理は、顧客の基本情報に加えて、顧客の購買履歴やマーケティング活動のレスポンス(反応)、サポートまで様々な情報を記録するようになってきました。
顧客ひとりひとりをしっかり見ていくことが、顧客管理の基本なのですが、顧客が増えれば増えるほど、大変になってきます。そこで、顧客管理を手助けしてくれるツールが顧客管理システム(CRM:customer relationship management)です。
このCRMを導入することで、顧客情報のデータ化を行い、「見える化」することができ、顧客分析や、マーケティング活動など、幅広く有効活用することができます。
どうして顧客管理が必要なのか?
最近では、顧客管理に力を入れている企業が多くなってきており、顧客管理をおこなっていない企業の方が少ないように感じます。なぜ、顧客管理に力を入れている企業が増えてきているのか、そして、どうして顧客管理が必要なのか、ということをこれから説明したいと思います。
売上の8割は全体の2割の顧客が作っている(パレートの法則)
マーケティング活動を担当している方なら聞いたことがあるとは思いますが、
これは、パレートの法則(8:2の法則)とも呼ばれますが、実際、会社の売上の大半は、顧客の2~3割によってつくられているのです。そして、この2~3割の顧客のことを、ロイヤルカスタマー(優良顧客)といいます。
この、ロイヤルカスタマーにあたる顧客が誰なのか、また、ロイヤルカスタマーを増やしていくためにどうするべきなのか、ということを分析するためにも顧客管理が重要となってきます。
既存顧客1人の穴埋めには新規顧客5人必要
あなたの会社の商品・サービスを何度も利用している既存顧客は、当然、年間購入金額(LTV)も高くなります。そのため、既存顧客をひとり逃してしまうと、その売上をカバーするためには新規顧客を5人はとらないと厳しいともいわれています。
1度買った人がずっと買い続けてくれるのが理想的ではあるのですが、継続率100%というのは不可能に近い数値です。しかし、顧客管理をしっかりと行い、顧客ひとりひとりをみていけるようになれば、高い継続率を維持することは可能になってきます。
顧客分析はマーケティング活動をより効率化させる
より細かく顧客情報を管理していくことで、あなたの会社の商品・サービスを求める人が、どんな人なのか、どういう理由で求めているのか、などが分かってきます。これらが明確になってくれば、効率のよいマーケティング活動が行えるようになります。
顧客管理が注目される理由
顧客管理が必要な理由と少しかぶってしまうところもありますが、ここからは顧客管理が注目されている理由についてお話させて頂きます。
新規獲得コストの上昇
以前、『【中小・個人企業向け】売れる仕掛けづくり~新規顧客獲得の戦略』という記事でもご紹介しましたが、あるセミナーのアンケートでは約8割もの企業が新規顧客の獲得に苦労している。という結果がでていました。
その理由のひとつには、新規獲得コスト(CPO)の上昇があげられます。
このCPOとは、Cost Per Orderの略で、1件の注文を獲得するためにかかった費用のことを言います。
CPO = 媒体経費 ÷ 獲得件数 から求めることができます。
数年前まではインターネット広告でCPO2,000~3,000円で獲得できていたものが、今では競合が増え、CPO5,000~8,000円近くかかってしまったり、新聞広告でもCPO3,000~4,000円でとれていたものが、新聞離れや発行部数減少などの影響により、CPOが上昇して来ています。
新規顧客を獲得するためにたくさんの費用がかかってしまったら、それを回収するにはたくさんの方にリピートして頂かなくてはいけません。そのためには、顧客ひとりひとりにあったプロモーションをしていくことが必要となってきます。
新規顧客獲得の限界
次に、CPOが上昇しきってしまうと、考えられるのは新規顧客獲得の限界です。これは、常に新しい商品を開発しない限り、そう遠くない未来に実際にやってきてしまうと考えられています。
新規顧客が獲得できなくなってしまったから売上がありません。ということになってしまわないようにするには、既存顧客の単価アップや購入回数を増やしていくしかありません。
これらのことから近年、顧客管理を導入する企業が増えているのです。
どのように管理するのか?
顧客管理の重要性はお分かりいただけたかと思いますが、では、実際に顧客管理を行うためには、「どういったことが必要なの?」という疑問に対してお答えいたします。
RF(RFM)分析・リピート率
RF分析とは顧客分析の手法のひとつで、Recency(最近いつ買ったか)、Frequency (何回目の購入か)の2つの指標で顧客を並べ替え段階的にセグメントし、それぞれのグループの性質を知り、マーケティング施策を講じる手法です。「最近いつ買ったか」という概念が入っているので、デシル分析のように過去に一度だけ高額商品を購入した顧客と、少額だが最近たくさん購入してくれている顧客が同一グループに入るようなことはなく、明確に分けて分析することができます。
RF分析に、Monetary (いくら買ったか)を加えて、RFM分析と呼ばれることもあります。
上図のような表であらわされることが多く、図の例で言うと、横軸で最新購入月を、縦軸で購入回数を示しています。
赤エリアが当月新規で、その月に獲得した新規の件数を表しています。青エリアは直近3ヵ月以内で購入があり、かつ、購入回数も多い顧客グループです。黄エリアは、9ヵ月~12ヵ月前に買ったけど、しばらく購入歴のない顧客グループとなります。
商品によっても異なりますが、基本的には直近3ヵ月以内を占める割合が50%以上はないと、採算が合わないと言われています。なるべく左下の青エリアに顧客を移動させることを意識した企画をおこすようにしましょう。
顧客移行率分析
顧客移行率分析とは、昨年買ってくれた顧客がどのくらい今年も購入してくれているかをみる時に使います。顧客移行率の平均が分かっていて、平均LTV(年間客単価)が分かっていれば、その年の既存客がつくってくれる売上が分かると言われているほどにマーケティングの世界では重要視されています。
また、昨年買ってくれたけど、今年はまだ買っていない人が分かれば、どうして買ってくれないのか、どうしたら買ってくれるのだろうかということまで調べることができるので、多少手間がかかって面倒な作業ではありますが、ぜひ、やってみてください。
継続率分析
これは定期コースなどがある商品に偏ったものになりますが、新しく入会してくれた顧客が、1年後に何%継続しているかを調べます。定期コースは残念なことにある一定の割合で退会する人が出てしまいます。しかし、目標もなく、ただ漠然と企画していると「穴のあいたバケツ」のように、新規をたくさんとってきても、まったく残っていない。という状態になってしまいます。そこで、継続率分析を行うことで、現状を把握し、正しい目標値を設定することにより、少しずつ穴を塞いでいくことができます。
さいごに
顧客管理の重要性についてはなんとなくでもお分かりいただけたかと思います。
顧客管理はとても手間がかかり、面倒な作業であることは事実です。しかし、この手間をかけて作業をすることにより、必ずあなたの会社にとってはプラスになります。あとは、やるか、やらないか。これだけです。
先ほども少しお話しましたが、いつかは新規が摂れない時代が来てしまいます。そうなってしまった時に、これまでにあなたの会社の商品・サービスを利用したことがある人を味方につけておくことができれば、そう不自由しません。しかし、新規どりにばかり頼っていると、その時代が来た時には手遅れになってしまいます。
そうならないためにも、ぜひ、顧客管理を導入してください。
もし、分からないことがあるならば私たちにご相談ください。
きっと、あなたのお力添えができることを確信しています。
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