フリーランスWEB屋の備忘録

リスティング広告の運用で効果を出すためにやっておきたいこと

最近では集客方法の1つとしてリスティング広告をはじめとするネット広告を利用する方が増えてきました。中でもリスティング広告は大企業に限らず中小企業から個人事業主まで幅広く利用されています。

リスティング広告の利点は何と言っても他の広告媒体と比べ、少額から始めることができることです。さらに、費用の調整がしやすいだけでなく、効果がすべて数値化されるので、広告出稿後の分析も細かくでき、PDCAサイクル(Plan・Do・Check・Act)を繰り返すことで、より広告の効果を発揮するための改善が行いやすいという利点もあります。

リスティング広告を出稿する前にやっておくこと

リスティング広告を出稿する前にやっておきたいことはいくつかあるのですが、一番大切なことは「現状分析」です。そんなこととっくにやっているよという声が聞こえてきそうですが、この現状分析はマーケティングの原点であると考えています。また、ここでしっかりと落とし込んでいくことで、広告運用だけではなく、今後の営業活動にも大きく影響してくるでしょう。

では、現状分析と言っても何を行えばよいのでしょうか。

これは、あくまでも私が考えているだけでこれが正しいということではありません。あくまでも、ご参考程度にご覧いただければと思います。

以上の事を、細かく落とし込んで行ければ、おのずと結果はついてくるはずです。

何を売っているのか

これは、簡単なように思うかもしれませんが、掘り下げていくととても難しい問題です。なぜかというと、生活が豊かになってきた現代では、多くのモノが溢れんばかりに存在します。まったく同じような商品がどこの会社でも販売されていて他の商品との差がわからない。なんてことはザラにあります。そんななかで他社との差別化を図るためにも、自分たちが売っているのは何なのかということを掘り下げて考えてみると良いでしょう。

私が通販会社に所属していた時は、あるサプリメントを担当していましたが、その時にコンサルの先生から言われたことは、『この商品の良いところを100個見つけなさい。』ということでした。最初のうちはすぐに思いつくのですが、50個を超えた辺りからはなかなか出てこなくて苦労しました。しかし、これをやったおかげで商品の本当の良さを伝えることができました。

少し面倒な作業ではありますが、今一度、自分たちが売っているのは何なのか考え直してみてください。

その商品・サービスは誰に売りたいのか

これもマーケティングの基本ですが、「誰に売りたいのか」ということはリスティング広告などのネット広告を運用する上で必ず意識しておかなくてはいけません。よくマーケティングの世界では、ひとりの人間を想定してセールスをしなさい。といわれますが、これは大まかなセグメントでセールスした場合に比べ成約率などが大きく変化してきます。

より、細かくセグメントして、最終的に特定の一人にセールスするくらいの気持ちでターゲットを絞り込んでください。また、そうすることにより、商品の良さや価値を伝える時に相手に響くセールスができるようになります。

どうしてその商品・サービスを買わなくてはいけないのか

最後に、あなたの商品やサービスを購入する方は、どうしてその商品・サービスを買わなくてはいけなかったのかということを考えてみてください。ここを考えることで、どのような人がその商品・サービスを求めているのか、どの部分に魅力を感じて購入することになったのかなどを予測することができ、新しい訴求軸の発見にも繋がります。

以上の事を細かく落とし込めたら、あとはそれに沿った内容の広告を出稿するのですが、ただ闇雲に広告を出稿するよりも効率よく広告を運用することができます。

リスティング広告を出稿する前に準備すること

上述した内容を細かく落とし込めたら、次はリスティング広告を出稿する前の準備をしていきます。

ここでは具体的に何をするのかというと、

をおこないます。

キーワードの収集・調査・分類

リスティング広告の前準備~キーワードの収集~

まず、前述した内容をもとに商品・サービスに関連するキーワードを書き出していきます。この段階では、とにかくキーワードの数を増やしてください。細かい調査分析はあとの段階で行います。

リスティング広告では複数ワードのかけ合わせキーワードも別のキーワードとして扱われるので、ここでもそれぞれ1つのキーワードとして書き出してください。
(例:「黒酢」も「黒酢 効果」も「黒酢 効能」もそれぞれ別のキーワード)

リスティング広告の前準備~キーワードの調査~

キーワードの書き出しが終わったら、今度はそのキーワードについて調べていきます。ここでは、先ほど収集したキーワードの月間検索ボリュームや競合がどの程度いるのか、また、このキーワードで広告を出す際の入札単価の推奨価格はいくらなのかをAdWordsのキーワードプランナーなどを使って調査します。

リスティング広告の前準備~キーワードの分類~

調査まで終わったら、次はキーワードを分類していきます。このとき、なるべく細かくグループを分類しておくと、広告の運用が始まってからの調整がスムーズに行えるようになります。また、広告を作成する時にキーワードとの関連性によって広告にランクが付けられるので、キーワードは関連性の高いもの同士のグループにしましょう。

広告のアカウント構成

キーワードのリサーチが終わったら、次はアカウント構成について考えていきます。

Google AdWordsもYahoo!スポンサードサーチもアカウント構成は共通している部分があるのですが、まず、リスティング広告を出稿するには、「キャンペーン」を作り、その中に、「広告グループ」を作り、さらにその中でキーワードと広告を作成していきます。わかりやすく説明すると、「キャンペーン」という大カテゴリーの中に、「広告グループ」というカテゴリーがあり、その中に、キーワードと広告を登録していきます。

例:「黒酢EX」というサプリメントで広告出稿する場合

これは、私がクライアント様のアカウント構成を考えるときの一例ですが、「社名商品名」というキャンペーンの中にそれぞれの広告グループがあり、その広告グループの中にキーワードと広告を入れていきます。

このような階層に分けているのにもいくつか理由があります。

広告費用の調整がしやすい

前述したように、リスティング広告の利点は費用の調整がしやすい点にあるのですが、リスティング広告ではキャンペーン毎に1日の予算を割り振ることができ、各広告グループ毎に上限クリック単価を設定します。さらに、キーワード毎にも上限クリック単価を設定することができるので、きちんと運用していくことでより費用対効果の合うキャンペーン・グループに予算を投入し、なかなか効率が合わないものは予算を抑えるようにすることで、費用を調整していくことができます。

品質スコア(広告ランク)が上がりやすい

広告の評価を表すもので品質スコア(Yahooでは広告ランク)というものがあります。これは、「推定クリック率」、「広告の関連性」、「ランディングページの利便性」という3つの評価から産出されるものですが、なかでも「広告の関連性」はキーワードと広告、広告とリンク先ページの関連性によって評価されます。

つまり、1つの広告グループにキーワードをすべて入れるよりも、関連するキーワード毎にグループをつくり、グループ毎に広告を作成したほうが、関連性の高いものとして評価されるようになるのです。

広告を管理しやすい

リスティング広告を運用していくと、成約率の高いものから低いものまで出てきてしまいます。そんな時はやはり調整をしていかなくてはいけないのですが、1つのキャンペーンの中に1つしか広告グループがなかった場合、ごちゃごちゃしてわかりにくくなってしまいます。訴求軸毎にキャンペーンを作ってキーワードによって広告グループを分けていれば、一目でどこがよくてどこが悪いのかがわかるようになってくるので、広告を管理しやすくなります。

いくらまでなら大丈夫?-広告の見積り-

最後にやることは広告の見積りです。これは、実際に広告の運用が始まってからでも問題はないのですが、運用を始める前に大まかな予想を立てておくことで無駄なく広告運用ができます。

いくらまでなら広告に費用を注ぎ込んで良いのかという見積りを立てていくのですが、そもそも、広告を出稿するということは商品やサービスを消費者に買って欲しいからであると思います。ということは、売れない広告にいつまでも広告費をかけるわけにはいきません。中には費用が余って仕方ないということで広告を出す企業もありますが、ほとんどの場合、極力お金をかけずにたくさん売りたいと思うのではないでしょうか。

では、どのように判断するのかというと、

  1. 商品・サービスのLTV(1人あたりの年間購入額)をだす。
  2. 商品・サービスの限界CPOを求める。
  3. (媒体のメディアレーションを求める)

これらをもとに判断していきます。媒体のメディアレーションは実際に運用を始めないと分からないところなので、運用前の準備というよりは運用を始めてから媒体の継続を判断するために確認するもになってくるかと思います。

商品・サービスのLTVを出す

LTV(Life Time Value)とは顧客1人あたりの平均年間購入金額のことをいいます。これは、平均購入金額(1回あたりの平均購入額)と平均回転数(1人あたりの年間購入回数)から求めることができます。

例えば、1年間の売上が1億円。購入件数は35,000件、購入客数は7,500人だったとします。

この場合、1億円 ÷ 35,000件 = 2,857円 なので、平均購入額は2,857円となります。

次に、35,000件 ÷ 7,500人 = 4.6回 なので、平均回転数は4.6回ということになります。

よってLTV = 2,857円 × 4.6回 = 13,142円 ということになります。

商品・サービスの限界CPOを求める。

CPO(Cost Par Order)とは、1件あたり獲得するためにかかった費用のことをいい、限界CPOとは1年間で回収できるギリギリのCPOのことをいいます。限界CPOは、

限界CPO = (平均客単価 - (原価+送料)) × 平均回転数

で計算することができます。先ほどの例でいうと(原価1,000円、送料510円とします)、

限界CPO = (2,857円 - (1,000円 + 510円)) × 4.6 =6,196円

この広告にかけていい費用

以上の計算をすると、平均LTVは13,142円。この商品の限界CPOは6,196円という値が出ます。単に限界CPOだけみても、広告のCPOが6,000円以下の場合は利益がしっかりでていると言えるのですが、この場合、LTVが13,142円ですので、CPOが8,000円かかったとしても問題ないということが分かります。

これは、なぜかというと、新規客獲得初年度ではトントンくらいになってしまいますが、2年目以降には広告費用がかからなくても13,142円の売上になってくれるので、しっかり利益がでるからです。

確認のためのメディアレーション

こちらは運用開始後にハッキリとわかるようになるので、はじめから気にする必要はありませんが、この広告媒体にかけた費用をどのくらいの期間で回収できているのかをみていきます。

まず、この広告により初めて購入した人をリストアップし、このリストの累計売上(1年間)を月別で出し、エクセルなどで下の表のように落とし込んでいきます。

媒体費用 当月 1ヶ月後 2ヶ月後 3ヶ月後 12ヶ月後
単月 10万 7万 4万 6万 3万 4万
累計 7万 11万 17万 20万 53万
MR 70% 110% 170% 200% 530%

この表をみてわかるように、この媒体のメディアレーションは530%ということになります。また、当月回収はできていなくても、1ヶ月後には110%になっていてしっかり回収できていることが分かります。つまり、この媒体はとても優秀な媒体であるということが分かります。

このメディアレーションは購入者によっても変わってくるのでリストが変わるとまた違う数値にはなるのですが、平均をみて判断すると良いでしょう。また、1年後でも回収しきれていない媒体に広告費を注ぎ込んでいるような場合には、媒体費の見直しが必要になってくるでしょう。